ArtWorks Library
No.0472「絵日記9周年記念(笑)」
「ん?何か言った」「いや、別に…」
季節は夏、天候がはっきりしない毎日も続いていた。今日なんて台風の影響で午前中は雨だったし、午後も晴れたり曇ったりの繰り返し…
今日は約束の7月29日、本当ならこいつを海に連れてってやるハズだったが…その為になんとか仕事も片付けてきてたんだが…
「すまんなぁ、海行けなくて…」
「台風じゃしょうがないしね」
「でも、この後は日がとりづらいんだろ?確か…」
こいつも俺と同じ業界の個人事業主、夏前には絶対ピークがある。特にお盆の直前辺りは色々と集中するのだった。
「でもそのお陰で今からおいしい物を食べにいけるしー♪」
「太るなよ…」
「え?そんなにいっぱい食べてもいいの?♪」
「あ、いや、勘弁してください…」
とっさに財布に手をかけていた。こいつの場合、おいしい物というのがオプションで、呑むほうが中心になるからな…しかも強い酒ばっかだし。
付き合いだして結構な時間が経ってるが…どんどん強くなってくよな、こいつは…
そう言えば、付き合いだしてから海に行ったのって…
「えれー昔だ…」
「え?何よぉ、また何か一人で考えてんの?」
やば、また思わず何かを口にしていたらしい。
「最後に一緒にどっか行ったのっていつだったかなー…と」
「それは確かにえれー昔だよね」
「まぁ、海は無理だったが、また時期がよくなってきたら旅行しようぜ」
「旅行もいいねぇ…でもそろそろ水着も着れなくなっちゃうかもよ?」
「やっぱ太るつもりか?」
手を振り上げながら追っかけまわされる、そう、昔からこんな繰り返しをしてきてたんだよな…。
「なぁ…」
立ち止まって振り向く、そして手を下げるこいつ。
「今のままでいいのかな?」
何を自分で言ったのかはよく判らない、それこそ本当に思わず口に出た言葉だったのかもしれない。
「…いいよ、ついてってあげる」
こいつも一瞬躊躇したが、返ってきた言葉の意味は何か…でもその一言に安心できている俺。
「せかさないけど、見つけて決めてね」
「あ、あぁ…」
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