ArtWorks Library
No.0518「夏を待つ緑」
頬を撫でる風が暖かいから暑いに変わり始める…時折、お鼻を悩ませていたモノも、徐々に静まってくる…
ほんのちょっと体を動かせば、額にジワリと感じる…
あまりポタポタにはなって欲しくはないのだけど…
「…近い…」
拭った後にちょっと感じる涼しさと、同時に見上げた空、そして緑の葉…
”さわさわ”
「この間までピンク色だったのに」
ピンク色は一時的に赤茶に変わり、その後は一気に緑色へ…
その葉の間から差し込む日差しは高くなっていた。
朝の時間は早くなり、夜の時間は遅くなり…
このまま夏に突入?
「…そうはいかないよね…」
夏はまだ先…
そして、その間には短いけど憂鬱な時間が割り込んでくる。
「長引きませんように…」
梅雨…これが無ければ夏にならないコトは判っているけど、やはり雨はあまり好きじゃない。
折角こうやって春モノも片づけられ、夏モノの準備に♪なんて時なのに、ちょっと羽織るモノが必要になったりして…
お鼻を悩ませる時期は過ぎても、今度は風邪に見舞われる危険もあったりする訳で…
お洗濯物も干したまま出かけると、後で泣きを見るようなコトも…
「…考えちゃいけない…」
目前の桜並木は、一直線の緑色…
その影と日差しの光が波間の輝きのように揺らめいている…
”さわさわ”
「よし♪」
歩幅を広げ、スピードを上げ、波の中を走り抜ける…
当たる風はすっかり夏…
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