ArtWorks Library
No.0451「デビューCD」
他愛も無い会話、静かな時間が流れている。俺はそんな二人のやりとりを見ていた。そして宏美がファンだという女の子にサインを求められてちょっと席を外した時だった。「クスッ」
彩さんが笑った。
「何か変か?」
「いや、ゴメンね。なんかさ、二人を見てるとさぁ…」
「妙な組合せに見えるか?」
「ううん、そうじゃなくて、案外、二人って昔恋人どうしだったんじゃないかな~なんてね」
そんな事を言う…
「何?」
「さっきの演奏、息ピッタシだったしさ」
「か、からかわないで下さいよ」
「あはは、ゴメンね~」
正直痛いところは突かれている。
彩さんには本当の事は言えないが、確かに昔、学生で一緒にバンドをやってた時は恋人どうしだった。しかし宏美がスカウトされ、いつの間にか疎遠になっていたし…
何を気にしていたのか、それからしばらくして宏美と会った時、俺は彼女を避けるような仕草までしていた。
しかしそれも久しい。彼女の1stCDが出て買うか買うまいかを悩んでいた頃、宏美自身からCDが送られてきた時、俺は彼女を見守り続けて行く事を心に決めた。
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今回からUPLOAD画像もPhotoShop6となりました、ぱちぱち
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