ArtWorks Library
No.0464「どこ行くの?」
「いい天気だ…」このところ慌しかったが、ようやく色々と片付いた。久々に街中に出てみれば、周囲は既に秋の様相、ただし、感じとしては秋なのかどうなのかはよく判らない。
ふとポスターが目に入った。
”秋の野外JAZZライブ”
見ればステージの準備中、一応ここはそんなイベントでよく使われる場所だ。演目を見てみると、秋の曲のラインナップ…。
「あいつが好きそうなやつばかりだな…」
何も考えずにフラっと出てきていた。そう言えばあいつとも電話ばかりで、久しく顔を合わせていなかったな…
「ちょっと呼び出してみるか。」
---
通りの向こうから元気良さそうに近づいてくるあいつがいた。
「ようやく来たか」
「おまたせー」
見ればこいつもすっかり秋の服装じゃないか…確か最後に見た時は、まだ春先の格好だったような憶えも…
「それはいいんだが…」
「え?」
「そのどっかに旅行にでも行くような格好は何だ?」
すっかり旅支度整ってるような感じだ、いつもならもっとラフな格好のクセに…久しぶりだからか?
「え?だって枯葉観に行くんでしょ?」
「は?」
「まだちょっと早いかもしれないけどね~、でも観たいな♪で、どこ行くの?」
間違っても俺は旅行になんぞ誘っていない…
「観に?」
「うん、さっき電話で枯葉観ようって言ってたじゃない♪」
「観ようじゃない、聴こうだ」
俺はポスターと準備中のステージを指差す。
「あれ?」
「あれじゃない」
「折角準備してきたのに~」
って、準備も何も…どういう耳してんだ?(こいつの勘違い癖は今に始まったコトでもないが…)
それにこんな昼過ぎからどっかに出かけられるとでも?近場でも到着時点で夜だって…
「ほら、歯ブラシも…」
「何故に!?」
PREV >