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No.0532「バスケットはワインの香り」
「あっとゆー間の連休だった…」窓から差し込む光に体を預けながら呟く。
が、連休何かあったか?と言えば、基本的にはお仕事モード全開。
俺のクライアントの皆々様は、連休直前に一斉にご連絡をよこし、
"連休明けで♪"
「…」
いや、慣れちゃったけどね。
だから世間の連休後に連休がやってくる…連休じゃないけど…
「あぁ…太陽がぬくい…」
これで周囲のマンション建設の工事音が無ければ、サイコーのお昼寝環境なんだが~…
"ぶにゅん"
「…」
"ぐにゅぐにゅ"
「…」
「…」
「んごーっ!」
「ほら、行くから♪」
楽しそうな顔しながら…
「人の顔に足を乗せてはいけませんっ!!」
俺の鼻をツボ押し代わりにしよって…
「行くって…」
「連休中どこにも行けなかったんだからーっ!!」
と、準備万端な人がそこに…
「天気も悪かったんだからしょうがないんじゃね?」
「一番の原因はチミの仕事よ?」
「いや、休みも必要だけど、ご飯も必要だ」
今年の連休前半は天気が続いたが、後半は雨天続き。俺のご飯ネタは前半中に稼ぎ、後半はお出かけするから…と、言い聞かせていた。
「残念無念」
「だから、これから連休なのーっ!」
確かに連休過ぎた方が何処も彼処も空いているだろう。混雑した電車に揉まれるコトも無い。
が、時間はその分短い、せいぜい出来て一泊程度だろう…
「小旅行のお金は稼げてません…」
「ちょっと出かけるくらいだよー」
手には大きなバスケットを持ち…ピクニック程度をご所望でありましょうか?
そう言えばそろそろ昼か…
「…」
「ん?なに?」
なんかバスケット重そうじゃね?
持ち手が腕の脂肪に食い込んでいるじゃなイカ?
「ぷるんぷるん」
「い、いうなーっ!!」
"ぶんぶん、がちゃがちゃ"
バスケット振り回しながら抗議するが…
「がちゃがちゃ?」
食べ物じゃない音がする…
「それをお見せっ!」
"ぷるん♪"
"びしっ!"
「んあっ!」
「二の腕ーっヽ(;_;)丿」
すみません、そっちの方が指にひっかかりましたよ…
(足裏でなくげんこつのツボを押しやがった…)
改めてバスケットを検査…
「赤…白赤…白…」
麦色もあるか? 「透明なのもね♪」
「おめでたやろーっ!!」
紅白のボトルが並んで…食いもん入ってないじゃん!!
「おめでたなんて…ぽ」
既に呑んでんのかね?
妙なダンスまでご披露するじゃなイカ?
「昼間から宴会か…しかも呑みだけ…」
「食べ物は途中調達だよ~」
「手作りとかの気の利いたオプションはナシ?」
「手伝ってくれるのと食材出してくれればね♪」
その分は予定に無いので稼いでいません…
って、途中調達の分もどこから捻出すれば…
「はいはい、いいから~お出かけお出かけ♪」
確かに、この日差しの下で呑んだらうまそうだ。
この工事の音からもちょっと離れたいし…
「…行くか」
「うん♪」
俺たちの短い連休が始まった…
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