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No.0538「暖かくなる日差し」
先っぽが閉じ籠っていた桜も、例年になく早々と咲き、このまま春が足早に過ぎ去るのかと思えば、冬日が戻ってきたり…「うー…」
目の前が歪む…
それと一緒に花粉の季節も過ぎてくれれば良かったのに、冬日の再来と共に、花粉も体制を整え直し、改めて新規に飛び散りやがって…的な…
「お鼻?」
「…見ての通りだ…」
トナカイさんもびっくり、全く役に立たない位、赤くなっていた。
「もう花粉は下火なんじゃないの?」
それは花粉症に限られる、鼻炎とゆー病は年中無休と言ってよろしい。
鼻の中を刺激するのは花粉だけではない、空気が汚れているのも影響するが、寒暖差があったり季節が安定しなかったり湿度が変わったりするのも刺激になるのだ。
よって、自分の場合、花粉の季節に加え、季節の変わり目も鼻炎に悩まされるのであった。
「難儀だねぇ…」
「一度なってみないか?」
「ココロして遠慮しておくよ〜♪」
元気いっぱいなヤツめ(一度、実経験させてやりたい)…
「ところで…」
「ん?」
「なぜ床?」
さっきから教室の床上に2人して体育座り…
「暖かいから〜♪」
座っているトコは窓から差し込んだ日差しが台形を描く中心、よって時間経過と共にズリズリ動いてたりして…暖かいのは確かに気持ちいいんだが、眩しいとそれがまた刺激になったり…
「あ、そっちそっち…」
って押すなっ!
「って!まぶっ!…ひ…ひへ…」
「わ」
「…へ…」
「…」
「…」
「…」
「…とまった…」
「良かったね♪」
「よくなーいっ!!」
そこまで出ていたくしゃみが止る…この強烈な残念感(および敗北感)ってのがーっ!!
「そこまで…そこまでキテたのにっ〜」
「あー…うん、ちょっとそーゆーのはあるかもね」
ちょっと!?こんな重大なコトを"ちょっと"だとっ!?
「…い、一度鼻炎を経験すればいいんだ…」
「いや♪」
「今ならもれなく箱ティッシュを3つ位進呈してやろう」
「謹んで拒絶しとくね♪」
「…へ…」
「…」
「…」
「…」
「へぶしっ!」
「わーっ!なんでわざわざこっち向くのーっ!?」
(もちろん、直前に背けてるけど)
「おー、こ、これだよこれっ!この爽快感っ!達成感っ!」
思わず立ち上がってのガッツポーズ!
「…へ…」
が…
「へぶしっ!へぶしっ!へぶしっ!…へぶしっ!」
ちょ、直射日光を…(自爆)
「あー、もう、ほら、ティッシュティッシュ…」
降り注ぐ日差しに、ちょっと汗ばむ感じを覚える…
寒暖を繰り返しながらも、季節は進みつつある…
こいつが隣にいるようになった、2度目の夏に向かって…
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