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No.0539「遊びの代償」
夏はまだ終わりそうな気配に無い。気を緩めれば暑さにやられる、少なくとも9月が終わるまでは要注意だ。
しかし、終わりそうにない夏に対し、非情にも夏休みはあと1週間(未満)での終了を宣言した。
それは遊び過ぎた彼女にとって、代え難い大きな代償となっていた。
ちょっとした出来心、お遊び、始まりは些細な事ばかり、身を委ねればそれらは心地良く、そのままでもいいとまで思い込まされる。
そして、それらが自身の身に及ぼす影響がどれだけの物か、判らない筈は無かった。
世間ではそういう誘惑に負けぬようにと啓蒙し、数々の悪例もメディアで伝えられていたはずだ。
それなのに…
「…」
「しくだいが〜」
「…」
「しくだいが〜」
悪例の中でも最も厄介なモノに当たっていた。
「だから、早目にやっとけと…」
「だって〜夏休みだよ〜高校2年の夏休みだよ〜」
高校2年に意味があるのかどうかは判らんが、彼女の言うトコロ、学生最後の夏休みという位置付けらしい。
来年の夏は受験とかでそれどころじゃなくなるからだとか…
「大学や専門学校だって夏休みあるだろ?」
「そうだけど、なんか感じが違う…」
まぁ、就職とゆー道を選択すれば、1ヶ月強に及ぶ夏休みなんてのは未来永劫金輪際訪れるコトはない。
よって、わが世の夏を謳歌せんと…(夏だっけ?)
「お願いします」
「その地面のセミみたいな手は何?」
「一生のお願い」
「短い一生ですな…」
言わんとするコトは判る。
その周囲に散らかった空欄の目立つプリント、新品と見紛うノート、ページとページの間に折り目の少ない教科書…
中でも最も目立つのは…
"じゆうけんきゅう"
「…」
「何?」
「高校生でも"じゆうけんきゅう"ってあるんだ…」
俺の時あったっけ?小中学校の時はなんかの観察とかした記憶はあるけど…高校は…
まぁ、期間が長いのは小中高も同じだし、何か1つ、身近な疑問や不思議をじっくり調べてみるとゆーのは良いコトだ。
"しゃかいじん"になったら出来ない、ある意味特権とも言えそうなテーマだ("しゃかいじん"でも、そーゆー研究部門とか学者は別だけど)。
「でもなぁ…」
「…1週間…」
「1週間で"けんきゅう"なんて…」
「…1週間…」
「そもそも他の課題もあったりで…」
「…1週間…」
「…」
「…1週間…」
それ絶対外せない最優先の条文なんですかね?
「な、何かネタを…」
だから、1週間で出来るネタなんて…
「…あ」
「あ?」
「"何故人は最後まで宿題をしないのか?"」
「ををっ!」
「な?よくね?」
「…」
「…」
「もっと難しいーっ\(ToT)/」
…だな、多分、"しんりがく"とか、"のうかがく"…などとゆー、聞いたコトも無いような無縁の学問に手を出さねばならん。
しかし、これを観察という視点から考え直すとだ…
「夏休み初日から今日までの自分の行動をまとめればいいんだ」
「…」
「その時々に於いて"あぁ、やらなきゃ!"と思った瞬間は(きっと)あったハズで、その時の自分の行動がどうだったかをだな…」
なかなか素晴らしい解説してないか?俺♪
「…」
「…」
覚えていないらしい…
とゆーか、夏休みの反省文を書くような…"どくしょかんそうぶん"の方がまだマシかもしれない…
「えーと…」
「しくだいが〜、しくだいが〜…」
「…」
「しくだいが〜、しくだいが〜…」
ズバリ言おう、その顔は"なんとかしたい"ではなく、"なんとかして(手伝って)"である。
が、ここでをぢさんが手を出すコトは、君のタメにならんのだよ?(判らないんぢゃない)
よって、涙で訴えても、よく判らない姿勢で迫ってきても…
「…あ」
「あ?」
「"何故女の子はぺたんこ出来るのか?"」
「…」
「な?よくね?」
長年の疑問だ。
男女の人体構造にそんなに極端な違いは無いハズ(細部は違うだろうが…)、骨盤は絡むのかもしれないけど、膝関節とかは同じなんじゃね?
「知るかー\(ToT)/」
知らないから"けんきゅう"するんだ。
「だって、男はその格好をしようとすると…」
「と?」
「…」
「…」
「あ、出来た…」
「…」
って、同じ姿勢でお互い向き合っててどーする?
「おー、結構広がるモンだな♪」
ほぼ同じ位に両足を広げるコトに成功した\(^o^)/
「しくだいが〜、しくだいが〜」
そのまま前屈…
「あー…それは出来ない」
「出来なくていいー\(ToT)/」
こうして過ぎ去ってしまう、貴重な1日…(個人的には収穫アリw)
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