ArtWorks Library
No.0540「卒業と入学と…?」
「不思議に思ってたコトがあるんだよね…」って、唐突に話始めやがった。
「何がでしょ?」
一応受け答え…しとかないと、後で怖いw
「3月4月と言えば、卒業入学シーズンと相場が決まってて…」
「ふむふむ」
まぁ、秋入学とゆーのもある訳で、世界標準では無いから、相場と言っていいかどうかは置いておこう、一般的にも特に誤りではない。
「ドラマでも漫画でもバラエティでも取り上げられるよね?」
「季節ですから取り上げてもおかしくないでそ?」
「でも」
「でも?」
「演出とゆーか、美術とゆーか…桜を使うよね?」
「イメージだからでそ?」
確かに、これらのイベントを思い浮かべなさい…と、言われれば、学校の門の中で卒業証書片手に抱き合ってる女子高生の姿を…背景は満開の桜だな。でもって、学校の門の外で親と並んで写真撮ってる女子高生の姿も…これもまた背景は満開の桜だ。
(女子高生限定に深い意味は無い)
「変だと思わない?」
「何を?」
相場とか言いつつ、真っ向否定するんかい?
「なんで満開なの?」
「…あ…あー…」
日本全国津々浦々、北から南までに差はあるだろうし、季節によって開花時期も変動する。
が、卒業式と入学式はこれもまた多少の差異はあるモノの、時期はズレている。
どっちも同じ満開状態とゆーのは無いのかもしれない。
「私の高校、卒業式は3月初めだったんだよ?」
「でしたね」
「で、入学式は4月初めだったんだよ?」
「でしたね」
「でも桜が満開になったのは3月末から入学式の前日までだった」
「つまり満開に当たるコトは無いと…」
"こくこく!!"
って、思いっきり頷いてるけど…
「じゃ、まだ芽吹き始める茶色い桜とか、散っちゃって緑色になり始めた桜の下で式を迎えたいですかね?」
「…それは寂しい…」
勢いある頷きが減速し、俯いたまま止まってしまいましたか…
桜散る中での門出だからこそ絵になるし、女子高生が映えるのだ。
(だから深い意味は無いですよ?)
「って、不思議な点とはそのコトですか?」
「うん」
幸せモノめが…
「ですがね、私にゃもっと不思議なコトがありますよ?」
「なあに?」
「何故学生服っ!」
ズバリ言おう、こいつは卒業式でも入学式でも1歩譲って入社式でも無い。
「季節だから♪」
「季節って…」
巡り巡る毎年やってくる季節はいい、が、チミは巡り巡ると、徐々にその…えーと…
「どこからそんなモノを…」
「冬物整理してたら出てきたんだよね♪まだ着れた♪」
だからって着るか?しかも往来に出るか?更に門の前でポーズまでとるのかっ!?
「コスプレぢゃん…」
長時間ここに居たら学校に迷惑をかけそうだ…
「ね、学生に見えるかな?」
「この学校は今春休み中だ」
「じゃ部活動しに来た生徒で…」
「それを観に来た保護者ですね、判ります」
"ボコッ!"
「ほうっ!!」
衝撃とともに、俺の視界は一瞬後ろに変わっていた。
「保護者は制服着なーい!」
一般人だって着ないって…
「お歳を考えなさい…」
「君よりちょっと下だよ?」
考える意味が違うっ!
こーゆートコはむしろ女子高生っぽいかもしれんが…いや、今の女子高生の方がもっと大人かもしれません…
「もう着れないかと思ってたけど、サイズ大丈夫だったからね〜」
「成長されてない…と」
と、呟きながら両腕を顔の前でクロス…
"ずる!"
「ほうっ!!」
衝撃とともに、俺の視界は標高0mに変わっていた。
「もう着納めかなぁ…」
とか言いながら校舎を眺めてて…
「また学生したいですか?」
「勉強がなきゃね♪」
「社会人は大変ですな」
「うぅ…あ、明日は進捗会議なんだよぉ…」
急に現実へ戻ってしまいましたか…
社会人は学生に戻りたい感が大きいが、反面勉強したくない感も持ち合わせる。
「その格好で会社行くなよ?」
「…い、行かないよ…」
今ちょっと何か過ったろっ!?
満開の桜、風に流れる無数の花びら、
そして春休み中の学校、
「ね、また着ようか?」
「何を」
「これ♪」
「チミはそれを見てこの私が喜んでいるとでも?」
「違うの?」
「…」
「…」
「…ちょっとだけなら…」
正直に生きましょう。
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